【愛用歴7年】ランチリオ シルビア&シルビアプロXの徹底レビュー!
今回は家庭用上級機ランチリオ シルビア、そしてその上位機種であるシルビア プロ Xをレビューします。
「今はデロンギを使っているけど、もう一歩いいやつが欲しい」と考え、調べている方が多いと思います。
なので今回は、安価な入門マシンとの違いを書いていきますので、2台目のエスプレッソマシンとしての購入を検討されている方の参考になると思っています!
それではいってみましょう!
こちらもオススメ!
注目の記事
家庭用上級機種ランチリオ シルビア
私がシルビアを購入したのはもう7年前になりますが、今現在でも現役で毎日使っています。
購入の経緯としてはおそらく皆さんと同じく、入門マシンからのステップアップです。
当時から家庭用上位機種として不動の人気を誇っていたこのシルビア、ロングセラーと言って間違いないでしょう。
さて、そんな長い間売れ続けているのは一体なぜなのでしょうか?
それはユーザーのニーズをきっちりと押さえた製品だからです。
デロンギなどの入門機種を使っている方がステップアップしたいときに望むことは
- プロ仕様のようなかっこいい外観
- エスプレッソの質を高めたい
- パワフルなスチームが欲しい
- 長く使えるものがいい
こんなところでしょう。
これらを10万円ちょっとで満たしてくれる機種こそランチリオ シルビアなのです。
ここからは入門機種との違いを踏まえてレビューしていきたいと思います。
入門マシンとの違い
プロ仕様のようなかっこいい外観
ステンレスを贅沢に使った外観は所有感を満たし、朝起きてキッチンにたたずむシルビアさんを見るとモチベーションが湧き、コーヒーを淹れたくなります。
電源を入れてマシンを温めている間に顔を洗ったり、トーストを焼いたりして、カフェのような朝食を毎日楽しめます。
マシン上部でカップを温められるのもいいですね。
カフェで見かける光景にテンション上がります。
マシン後方には2Lの大型タンク。
入門機とは比べ物にならない大きさです。
もちろん取り外して丸洗いできます。
汚れやすいトレイ部分も取り外して丸洗い可能。
質の高いステンレスを使っているため、7年使ってもサビが出たことはありません。
また、ポルタフィルターはずっしりと重量感があり、業務用マシンと同じ58mm規格ですので、タンパーなどのアクセサリーもプロ仕様の豊富なラインナップから選べるようになります。
この時点でかなり心がなびきますが、次は中身の仕様を見ていきましょう。
エスプレッソの質が高まる
続いてはエスプレッソの抽出機能です。
エスプレッソの味を安定させるには抽出に使うお湯の温度が重要です。
エスプレッソの抽出には92~93℃が最適で、そのお湯の温度安定に関わってくるのがボイラー(湯沸かし器)の大きさです。
シルビアに搭載されているボイラー容量は300ccです。
つまり300㏄のお湯を沸かしておくことができます。
一方、デロンギなどの入門機のボイラー容量は100㏄程度です。
1杯のエスプレッソを抽出するとき、最初の空出しを含めると40~50ccのお湯を使いますので、入門機の100cc程のボイラーでは
半分近くのお湯を取り出すことになり、お湯の総量が少なければ少ないほど温度が下がりやすくなるのは言うまでもありません。
一方、シルビアのボイラーは300㏄ですので、50cc使ってもまだ250㏄の余力があります。
これが抽出能力の違いです。
シルビアは大きいボイラーでお湯を沸かすことで抽出温度を安定させることができるので、コーヒー豆の味をしっかり取り出し、クレマを最大限引き出すことで濃厚なエスプレッソを作ることができます。
パワフルなスチーム
続いてはスチーム能力についてです。
ラテアートを楽しむには重要なポイントですね。
こちらもボイラーサイズに比例するので、入門機の倍以上のパワーとスタミナがあります。
スチームを作り出すのもボイラーなので、容量が大きいほど長持ちするのは当然ですね。
また、優れている点はほかにもあります。
それはスチームノズルの長さと角度です。
写真の通り充分な長さがあるので、大きいピッチャーでも余裕でスチームできます。
さらにスチームノズルの付け根がボールジョイントになっているため、自由度の高い角度設定が可能です。
上手にスチームできる角度を色々試せますね。
入門機に比べ、圧倒的に上達が早まるのは間違いありません。
長く使える耐久性
耐久性に関しては7年使用し今なお現役で、トラブルなく使えているのがなによりの証拠になるかと思います。
メンテナンスしたのは消耗品であるガスケット(パッキン)の交換だけですね。
中身は極めてシンプルな構造ですし、本体はステンレスで構成されているので、よほどのことがない限り物理的に壊れることはないと思います。
豊富なアクセサリー類
例えばこのボトムレスポルタフィルターはランチリオ社から純正品が販売されています。
ほかにも4つ穴スチームチップに交換してパワーアップを図ったりも可能です。
業務用と同じパーツを採用したシルビアならではの様々なカスタマイズを楽しみましょう!
※ネジ穴の規格などをよく確認して、きちんと対応したスチームチップを買いましょう
純正ボトムレスフィルター
グラインダー(ランチリオ社ロッキー)とのセットもあります
【上位モデル】ランチリオ シルビア プロ Xのレビュー
こちらはシルビアの上位モデル『ランチリオ シルビア プロ X』です。
続いてはこちらを徹底レビューしていきたいと思います!
外観と各種機能
正面はこんな感じ。
電源・抽出・スチーム・お湯それぞれのボタンに加え、ボイラー温度や抽出秒数を表示してくれる小型ディスプレイが備わっており非常に便利です。
この辺りを見るだけで既に上位モデルの雰囲気がプンプンしてきます。
横から見るとこんな感じ。
ボイラーの数が増えたので、シルビアと比べると13cm程奥行きが大きくなっています。
とはいえ横幅のスリムさは保っているので、圧迫感はそこまで変わらない印象です。
背面はシンプル。『RANCILIO』のロゴが映えます。
上面はカップが6つは置ける広々としたカップウォーマーになっています。
スタンバイを待っている間にマシンの熱でカップを温められるので、最適な温度でエスプレッソやカフェラテを楽しめます。
水を入れるためのタンクの容量はシルビアと同様の2L。家庭用としては十分な容量で、例えば友人を5,6人招いても、途中で給水を挟むことなく余裕でコーヒーをふるまえます。
グループヘッドはブラックカラーになっていて、ボディの美しいホワイトカラーを引き立てます。
ガシガシ使ってもガタつくようなこともなく、しっかり堅牢な作りです。
正面から見て左側には、ホットウォーター用の抽出口が備わっています。これはシルビアには無かったものですね。
エスプレッソをお湯で割る『アメリカーノ』を作る時なんかに便利です。
スチームノブのデザインはシルビアを踏襲した形で、回しやすさは健在です。
スチームパワーの微妙な調整もできますし、大体一周くらい回せばフルパワーにアクセスできます。
たくさん回す必要がないので、スチームを止めたいタイミングを逃すことがありません。
スチームノズルはシルビアよりも長くなっています。
こちらは12ozピッチャーとの比較です。
続いて20ozピッチャーとの比較。
これだけノズルの長さがあればピッチャーを選ばずに使えます。
マシン全面にはシルビアには無かった圧力メーターが搭載されています。
抽出時に掛かっている圧がリアルタイムで確認できるので、エスプレッソの調整に役立ちます。
マシン下部のトレーや水受けは取り外して丸洗い可能となっており、日々のメンテナンスも楽チンですね。
意外と便利なのがこちらのプレート。
上に持ち上げることでトレーの高さを変えられます。
エスプレッソを落とすときに、ラテカップのような背の低いカップに落とす場合は、トレーを高くすることでコーヒーがはねるのを防ぐことができます。
また、マグカップやグラスのような高さのある容器に落とす場合は、トレーを低くするといった使い方ができます。
シルビアとの違いは?
ぱっと見の印象はシルビアと同じようなデザインをしていますが、実は違いがいくつもあります。
表にして比較してみました。
シルビアプロX | シルビア | |
---|---|---|
サイズ(幅) | 250mm | 235mm |
サイズ(奥行) | 420mm | 290mm |
サイズ(高さ) | 390mm | 340mm |
重量 | 20kg | 14kg |
水タンク | 2L | 2L |
ボイラー数 | 2つ | 1つ |
コーヒーボイラー | 300ml | 300ml |
スチームボイラー | 1000ml | なし(コーヒーボイラー兼用) |
スチーム同時使用 | できる | できない |
抽出圧力計 | あり | なし |
温度調節機能 | あり | なし |
蒸らし機能 | あり | なし |
ディスプレイ | あり | なし |
抽出秒数カウント | あり | なし |
付属品 | ・ポルタフィルター ・シングルバスケット ・ダブルバスケット ・クリーニングブラシ ・計量スプーン ・バックフラッシュディスク ・軟水器 ・クリーニング用タブレット ・プロ仕様タンパー | ・ポルタフィルター ・シングルバスケット ・ダブルバスケット ・クリーニングブラシ ・計量スプーン ・バックフラッシュディスク |
特に重要なアップグレード箇所は以下の通りです。
- デュアルボイラーでスチームの同時使用が可能
- 蒸らし機能(プレインフュージョン)がついた
- 抽出温度の調節が可能
- ディスプレイで抽出秒数をカウントしてくれる
ひとつずつ解説していきます。
スチームの同時使用が可能
『シルビア プロ X』は“デュアルボイラー”仕様です。
シルビアを含むシングルボイラー機(HX機を除く)は、エスプレッソ抽出とミルクのスチームを同時に行うことができないため、エスプレッソを抽出してからミルクをスチームするか、その逆かでやっていく必要があります。
そのためエスプレッソかミルクのどちらかに待ち時間が発生し、カフェラテのクオリティが一歩劣ります。
『シルビア プロ X』はコーヒー用ボイラーとスチーム用ボイラーの2つが独立して搭載されている”デュアルボイラー”なので、エスプレッソを抽出しながら同時にミルクスチーミングを行うことができます。
落としたてのエスプレッソにスチーミング直後のフォームミルクを注ぐことができるので、ラテアートの上達にも間違いなく繋がりますね。
この点はシルビアと決定的に異なる点であり、ホームバリスタ必見のポイントと言えるでしょう。
蒸らし機能(プレインフュージョン)がついた
『シルビア プロ X』には、蒸らし機能(プレインフュージョン)が搭載されています。
シルビアを含めた多くの家庭用エスプレッソマシンでは、抽出ボタンを押すと同時に一定の圧力で抽出が行われますが、『シルビア プロ X』は本抽出が始まる前に少量のお湯と圧でコーヒー豆を蒸らしてくれます。
この機能により、お湯をまんべんなく行き渡らせ、コーヒー豆が持つ風味を最大限に引き出してくれます。
コーヒー豆が持つ成分が出やすくなるので、コーヒーオイル(油分)もしっかりと引き出され、クレマもよりしっかりと出てくれます。
この蒸らし機能(プレインフュージョン)は、メニューから設定変更も可能なため、コーヒー豆の焙煎度や鮮度の状況に合わせて自分好みのエスプレッソを追求できます。
抽出温度の調節が可能
『シルビア プロ X』は”PID制御”と呼ばれる機能が搭載されており、ボイラー内のお湯の温度をプログラムすることができます。
これもシルビアや多くの家庭用エスプレッソマシンにはない機能です。
1℃単位で温度をコントロールすることができ、自分好みのエスプレッソを探究することが可能です。
抽出秒数をカウントしてくれる
『シルビア プロ X』には、エスプレッソ抽出の秒数をカウントしてくれる機能が搭載されています。
エスプレッソの抽出を開始すると同時に、マシン全面のディスプレイに秒数が表示されるので、タイマーを別で用意する必要がありません。
抽出秒数というのは、美味しいエスプレッソを淹れるための重要な指標の一つですが、別でタイマーを使っていると抽出と同時にカウント開始するのをうっかり忘れたりすることもよくあるので、それをマシン側に任せられるというのは非常にありがたいです。
かゆいところに手が届く機能ですね。
エスプレッソ抽出
シルビアとの違いが分かったところで実際にエスプレッソを抽出してみます。
電源を入れてから3~4分程で設定した温度まで上がりました。今回は93℃で抽出していきます。
ちなみにスチームの方はもう少し時間が掛かります。
(15~20分程)
スチームノブの上にあるランプが点滅している間はスチームの準備中、点滅から点灯に変わったらスタンバイ完了の合図です。
コーヒーボイラーのスタンバイが終わったので、グラインダーでコーヒー豆を挽いていきます。
そのままタンピングで押し固めていきます。
グループヘッドにセットして抽出を開始します。
抽出の前半は赤茶色の液体がトロッと落ちてきます。めちゃくちゃいいぞ!
抽出が進むにつれてだんだんと淡いブラウン色に変化していきます。
ダブルリストレット抽出なので、30cc程で抽出をSTOPします。
どうでしょうか。めちゃくちゃクレマが出ていてラテによく合うしっかり濃厚なエスプレッソに仕上がりました。
蒸らし機能(プレインフュージョン)のおかげでコーヒー豆の成分をが余すことなく引き出されていて、風味豊かなエスプレッソが落とせました。
これはミルクと合わせるのが楽しみです。
ミルクスチーミング&ラテアート
『シルビア プロ X』のスチームノズルを使って、ミルクの泡立て(スチーミング)をエスプレッソ抽出と同時に行い、ラテアートを描いてみました。
完成したラテアートがこちらのレイヤーハート。
エスプレッソ抽出とミルクスチーミングを同時進行で行えるので、しっかりとクレマのあるエスプレッソにスチーム直後のなめらかなミルクを注ぐことができました。
レイヤー(ミルクの線)もクッキリと出ており、周りのクレマとのコントラストもかなりいい感じです。
立て続けにリーフのラテアートも作ってみました。
時間を空けずに2杯目も淹れましたが、スチームがパワーダウンすることもなく、コーヒーボイラーの温度も安定していました。
風味豊かなエスプレッソとスチーム直後のつやつやミルクで作るカフェラテは、自宅で作ったとは思えないクオリティです。
家族と一緒に美味しく頂きました(^^♪
スチームについて
『シルビア プロ X』を実際に使ってみた感想としては『ほぼ業務用やん!』という感じでした。
スチーム用のボイラーが1000mlあるので、スチームのパワー、持続力ともに十分です。
画像では伝わりづらいかもしれませんが、業務用にも劣らないパワーのスチーミングが可能です。
そして、これがエスプレッソ抽出と同時に使えるというのが本当にいい。
スチームノズルの先端に取り付けられたスチームチップは、なんと4つ穴が標準装備!一般的な1つ穴の家庭用マシンと違って、パワフルなスチームが得られます。
スチームノズルの付け根部分はボールジョイントになっており、角度は自由自在。どんなスチームスタイルにも対応しています。
ポルタフィルターのアップデート
2022年2月よりランチリオ社のポルタフィルターにアップデートがありました。
左が10年近く前に買ったランチリオ社純正のボトムレスで、右がアップデートされたポルタフィルターです。
ハンドル部分が大幅に改良されています。
新しいハンドルは人間工学に基づいて設計されており、以前よりも手にフィットするフォルムに進化しています。
また、素材感も全然違いますね。以前はプラスチック系のツルっとした素材でしたが、新型はラバーっぽい素材に変更されており、より滑りにくく改良されています。
スパウト部分(2つに分かれる通り道)もシュッとスマートになっていてかっこいい。エスプレッソが流れ落ちてくる様子も見ることができます。
ちなみに、バスケットを装着するスペースも深くなったようです。
旧型のダブル用ホルダーはシングルバスケット(1杯取り)とダブルバスケット(2杯取り)に対応していたのですが、新型はより深くなっているため、シングルバスケット(1杯取り)、ダブルバスケット(2杯取り)、トリプルバスケット(3杯取り)まで装着できるようにアップデートされています。
特にラテアートをやる方はトリプルバスケットを使って濃厚なエスプレッソを落とすことがあると思うので、トリプルのバスケットまで1本のポルタフィルターで対応できるようになったのはありがたいですね。
シルビア プロ Xを使った感想まとめ
シルビアを長年使ってきた私ですが、『シルビア プロ X』は段違いに性能がアップグレードされていて、かゆいところに手が届く非常に良いエスプレッソマシンだと思いました。
まず”デュアルボイラー”でエスプレッソ抽出とスチームを同時に使えるようになったのはかなり大きいです。
また、PIDによる温度管理と蒸らし機能(プレインフュージョン)も、自分好みのエスプレッソ探究に欠かせないポイントですね。
すでにエントリーモデルのエスプレッソマシンをお持ちでグレードアップを検討している方や、これからエスプレッソやラテアートを極めたいと考えている方におすすめしたい製品です。
一応『ハイエンドな家庭用マシン』という位置付けのようですが、正直小さなカフェや出張カフェ、キッチンカーでの使用くらいであれば普通に問題なく使えてしまうと思うので、そういった用途でタンク式マシンを探している方にも選択肢になってくるかと思います。
【補足情報】ランチリオ社のシルビア/シルビアプロX/ロッキーは、日本の電気用品安全法(PSE)に対応しています!
どこで買うのが良い?
『シルビア プロ X』はイタリアのランチリオ社で製造されている家庭用エスプレッソマシンです。
個人輸入という手もありますが、まず英語の読み書きや会話ができないと難しいですし、関税や不具合の際の問い合わせにも困ってしまうことになりますので、日本語対応のショップでの購入をおすすめします。
『アルファエスパス(Alphaespace)』という輸入家電などを扱うショップは、日本語対応はもちろんのこと、充実した保証や無料で変換プラグをつけてくれるなど、海外製品を購入する方に安心のサービスが付いています。
『シルビア』や『シルビア プロ X』をはじめ、ランチリオ純正のボトムレスポルタフィルターなどのアクセサリー類も取扱いがありますので、海外製のエスプレッソマシンを購入する場合は『アルファエスパス(Alphaespace)』を見てみてください。